【感想】ミステリー小説「可燃物」|米澤穂信

【感想】ミステリー小説「可燃物」|米澤穂信 小説

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このような人にオススメの本
  • ミステリーが好きな人
  • 淡々とした小説が好きな人

この記事では小説「可燃物」の感想を書いています。

taku
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小説「可燃物」の書籍情報

  • 著者:米澤穂信
  • 出版社:文藝春秋
  • 発売日:2023/7/25
  • ページ数:280ページ
  • 2023年ミステリーランキング3冠達成!
  • 「このミステリーがすごい!」第1位
  • 「ミステリが読みたい!」第1位
  • 「週刊文春ミステリーベスト10」第1位

小説「可燃物」のあらすじ

主要な登場人物

(かつら)

  • 群馬県警本部 刑事部捜査第一課
  • 冷静沈着
  • ワンマン

本書は全部で5つのストーリーがあります。

  1. 崖の下
  2. ねむけ
  3. 命の恩
  4. 可燃物
  5. 本物か

すべて別々の事件ですが、どれも葛警部が主体となり、推理を光らせ事件を解決に導いていきます。

崖の下

スキー場で遭難が起きたと警察に一報が入る。

5人連れのスキー客のうち、4人と連絡が取れない。

翌日、捜索隊により崖の下で4人のうち2人が見つかる。

そのうちの1人は死亡していた。

葛警部は現場に着いた時点でほぼ犯人を特定していた。

しかし、大きな問題が一つあった。

「凶器がない」

葛警部は凶器を見つけることができるのか。

ねむけ

強盗致傷事件が発生。

葛警部が率いる捜査班が派遣された。

1人の容疑者が浮かび、監視をつけていたところ、彼は交通事故を起こす。

その後、交通事故の目撃証言を4件得る。

しかし、この目撃証言、葛警部はどれも変だと考えていた。

なぜ、4人はおかしな証言をするのか。

そして、強盗致傷事件の犯人は誰なのか。

命の恩

山麓にある回廊で人の上腕が落ちていると通報が入る。

捜査を進める中で、上腕は人為的に切断されたものだということが発覚。

人体の他の部位の発見のため、そして被害者の身元特定のため山麓が捜索される。

次々と体の部位は発見され捜索は順調に進んだ。

しかし、葛警部は感じていた。

「どうして死体を切り刻んだのか、それがわからなければ事件の真相は見えてこないだろう」

葛警部の鋭い推理で真相に迫る。

可燃物

ごみ集積所で可燃ごみが燃えているという通報が、近隣で数日間立て続けに入った。

狙われたのは可燃ごみばかりだった。

連続放火と判断され捜査本部が設置された。

しかし、捜査本部が設置された途端、放火はパタリと止まってしまった。

なぜ、放火は止まったのか。

そして、なぜ可燃ごみばかりが狙われたのか。

本物か

ロードサイドのファミリーレストランで立てこもり事件が発生。

現場に駆けつける葛班。

包囲している中、立てこもり犯が窓から姿を見せる。

その手には黒い拳銃状のものが握られていた。

本物の銃なのか?

一体、ファミリーレストランで何が起こったのか。

葛警部が聞き込み調査を繰り返し、事件の真相に近づいていく。

小説「可燃物」の感想

「可燃物」は、気づいたら物語に引き込まれている小説でした。

物語は結構淡々と進んでいく感じがしました。

この、急展開でなく徐々に徐々に事件の真相に近づいていくところが、ドーパミンをどんどん増やしていき読み込んでしまいます。

以下、この小説の個人的ポイントを3点解説します。

裏をかくストーリー構築

「もしかして、こういうトリックじゃないの?」

物語を読んでいて思いつくこともあったのですが、読み進めるとそれは違うということに気付かされることがありました。

読者がこのように予想するのも折り込み済みで書かれているように感じ、心が動きました。

葛警部のキャラクター

何と言っても本書の一番の肝は葛警部です。

葛警部のキャラクター特徴を4点ご紹介します。

観察力と推理力の高さ

葛は、遺留品リストのみならず、それぞれを撮影した写真もすべて確認していく。

「可燃物」 米澤穂信

葛警部は資料や報告書を隅から隅まで調べます。

さらに、わからないことについて、過去の経験からあらゆる可能性をすべて考えます。

この観察力と推理力の高さが、葛警部の強みです。

常に冷静沈着

これで決まりだと言わんばかりの宮下とは対照的に、葛は冷ややかである。

「可燃物」 米澤穂信

上記のシーンは、証拠をつかんだという部下の報告に対しての葛警部です。

前述した通り、葛警部は観察力と推理力に長けています。

部下の持ってきた証拠では弱いという可能性に間髪なく気付きます。

部下に対しては怒りも労いもしません。

葛警部が感情を表に出すことは基本的にないです。

私の記憶が正しければ、本書の中で葛警部が笑ったのは一回のみです。

命令口調

「班長、目撃者を見つけました」 葛は手元にペンと紙を引き寄せる。 「話せ」

「可燃物」 米澤穂信

「同様に洗え」 「はい」 「実物は手配中だ。必要なら消防に連絡して見せてもらえ

「可燃物」 米澤穂信

「〜してください」などという丁寧な命令を葛警部はしません。

基本的に鋭い命令口調です。

良く言うと、的確な指示を部下にどんどん出すタイプです。

taku
taku

自分の上司にはなってほしくないタイプ(笑)

食べるものがいつも同じ

葛は午前3時過ぎに事故の第一報を聞いて以来、食事をしていない。菓子パンとカフェオレで朝食に替え、瞬く間にそれを腹に収めて、もう一度資料を見直す。

「可燃物」 米澤穂信

忙しく、なかなか食事の時間をとることができない葛警部。

たまにする食事がいつも菓子パンとカフェオレです。

葛警部を象徴する飲食物になってます。

冷静沈着、命令口調の葛警部が菓子パンとカフェオレというのは、なんだかギャップがあっておかしかったです。

少々、健康面が心配になります。

シュールなシーン

物語の中では、たまにシュールなシーンがあります。

このシュールなシーンが一瞬の緩和を生み出し、物語に味を出します。

私がシュールだと感じたシーンを2点ご紹介します。

ネット捜査を得意とする刑事

「紙川翔介は、ビロング・トゥ・アスというオンラインゲーム上で、オウルベースというハンドル名で活動しています。」

「可燃物」 米澤穂信

刑事の一人が会議で捜査報告をする場面。

このセリフを皮切りに、オンラインゲームの説明がかなり具体的に細かく説明されているところがコミカルでした。

実際に小説の中では、会議場の多くの刑事が話についていけず、怪訝そうな表情を浮かべていました。

美味い茶

茶に口をつける。 「美味い茶だ。利根署には茶を淹れるのが上手い警察官がいるらしい」 

「可燃物」 米澤穂信

会議室で一人きり、事件について考えているときの葛警部のセリフ。

冷静沈着な葛警部がお茶の美味しさにいたく感動しているのも、個人的に面白いと感じました。

まとめ

小説「可燃物」の感想でした。

ミステリー好きな人は、ぜひ一読ください。

大どんでん返しのミステリーも面白いですが、たまには落ち着いたミステリーもいかがですか?

こちらの作品はaudibleで聴くこともできます。

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