【感想】小説「四月になれば彼女は」|川村元気

【感想】小説「四月になれば彼女は」|川村元気 小説

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このような人にオススメの本
  • 恋愛小説を読みたい人
  • 感動したい人
  • 今、何か後悔を抱えている人
  • 読書が苦手な人
  • ノスタルジーを感じたい人

この記事では、小説「四月になれば彼女は」の感想を書いています。

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「四月になれば彼女は」の書籍情報

  • 著者:川村元気
  • 出版社:文藝春秋
  • 発売日:2019/7/10
  • ページ数:281ページ
  • 映画化決定!2024/3/22公開

「四月になれば彼女は」のあらすじ

主要な登場人物

藤代俊(ふじしろしゅん)

  • 精神科医
  • 大学時代は写真部に所属

坂本弥生(さかもとやよい)

  • 獣医師
  • 藤代の婚約者

伊予田春(いよだはる)

  • 大学時代は藤代と同じ写真部に所属
  • 藤代の元恋人

「なぜ、突然手紙を書いてきたのだろうか?」

藤代は弥生と結婚式の準備を進めていた。

そんな藤代のもとに、ハルから手紙が9年ぶりに届く。

藤代は感じていた。

本当に弥生のことを愛しているのか?

そもそも人を愛するとは?

藤代が本当の愛に気づくまでのストーリー。

「四月になれば彼女は」の感想

「四月になれば彼女は」は、前半はハルが撮る写真のように、どこか淡い世界観が漂っていたけれど、後半ははっきりと輝かしい色を帯びた小説でした。

以下、この小説の個人的ポイントを4点解説します。

表現がわかりやすい

いまわたしは、ボリビアのウユニにいます。 真っ白な塩の湖のほとりにある街。標高は三七〇〇メートル。空気はうすいけれども澄んでいて、水色の空にはぷっくりと膨らんだ雲が浮かんでいます。

「四月になれば彼女は」 川村元気

全体的に難しい言葉は使っておらず、人や物が丁寧に描写されていて、とてもわかりやすく表現されています。

そのおかげで、小説の世界に入り込むことができ、本を「読む」というより「体験」できるような感覚を味わえました。

なので、読書が苦手な人にもオススメです。

どこか懐かしさを感じる

外からはサックスやクラリネット、フルートやオーボエが奏でるメロディがかすかに聞こえてくる。吹奏楽部の部員たちが部室棟のルールを破ってめいめいに廊下で練習をしているが、誰も咎めはしない。

「四月になれば彼女は」 川村元気

学生時代、部活動やサークル活動に力を注いでいた人限定になってしまうかもしれませんが、ノスタルジーを感じることができます。

小説の中で描かれる部室棟から聞こえる音が、学生時代の記憶を呼び起こします。

他にも部室の主の登場や夏合宿なども描かれており、どこか懐かしさを感じます。

後悔は行動で払拭できる

「いつかまた見に来ようね」 インドから帰る飛行機の中、狭いシートでブランケットにくるまりながら、海を見下ろしていたハルが囁いた。 「そうだね、いつか必ず」と藤代は答えた。

「四月になれば彼女は」 川村元気

「いつか」はやってくるとは限らない。

むしろ、やってこないことのほうが多いのではないでしょうか。

そうして取りこぼしてしまった「いつか」は後悔として残ります。

でも、行動によって後悔は払拭できます。

たとえ、それが違うかたちであっても。

本当に大切なものは失ってから気づく

息が切れ、額から汗が滴り落ちる。もう一度、彼女の名前を叫ぼうとした。だがその声は弱々しく震え、言葉にならなかった。自分の目から、涙が溢れていることに、そのとき気づいた。

「四月になれば彼女は」 川村元気

日常の当たり前が、当たり前ではない。

そのことに気づくのは大切なものを失ったとき。

愛することをサボったとき、終わりを迎えてしまいます。

失ったものを取り戻すことはできなくても、“今”二人の間に残っていると信じることができるもの、そのカケラを拾い集めてやり直そうとすることはできます。

まとめ

「四月になれば彼女は」の感想でした。

特に最後のシーンが、情景や藤代の気持ちがとても鮮明描かれ、美しすぎてめっちゃ泣きました。

恋愛小説が好きな人は必読です。

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